「T先生、なんで今注意しーひんの?」
今日は、この言葉にハッとさせられた日でした。
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秋になり小学校が再開しました。
穏やかとは言い難かった現場は、
未だ穏やかにはなっておらず、むしろ様相を変えてまた緊張し始めています。
学校での私の役割といえば、
前任校でも今回でも、最初は発達障害児の個別対応と、
T2の役割としてまんべんなく学習指導をすることが多かったのです。
しかし今は、周りを巻き込む問題行動を起こす(いわゆる非行というか)複数の児童に対し、
なんとか周りに巻き込まないように、そしてできるだけ学習に向かえるように、
支援することにほとんどの時間を費やすようになりました。
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周りの子に対し、学習環境の保障をすることと、
彼らの気持ちをおだやかにし、
緩やかに行動を修正していくこと、
それが私の役割だと思っています。
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問題行動を起こす彼らは、
教室内でも様々なことをするのですが、
一旦教室から出てしまうと、
廊下でたむろして、ふざけてなかなか動きません。
もちろん一人でも、なかなか戻れなくて放浪の旅に出る児童もいます。
周りの普通の生徒たちも、その様子をいつも見ています。
そして、担任の先生が大声で叱る、という場面をしょっちゅう目にしているわけです。
そんな中、私は叱るときもあるけど、じっと見ているときもある。
それが、Aくんにはとても疑問に思ったようです。
そして、Aくんは素直に私にぶつけてきました。
「T先生、なんで今注意しーひんの?」
Aくんは、正義感が強いところが良いところですが、
それにより、もめ事を引き起こすこともある児童です。
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その時は「うん、注意するよ。」と軽く返事したのですが、
その後少し考えて、
”彼の疑問は、周りの生徒たちの素直な気持ちでもあるかもしれないなぁ。
彼と話をしてみようかな”
そう思いました。
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「なあなあ、Aくん、さっきの話やけどな、聞いてくれる?」
「先生な、彼らをすぐ叱るときと、叱らずに見てるときがあるって思ったんやろ?」
Aくん「うん。そう思った。さっき、悪いことしてるのに、なんで怒らへんのかなって。」
「先生な、周りのみんなに迷惑かけてるときはどうしてる?」
Aくん「怒ってる」
「うん、そやねん。周りの子に迷惑かけるようなことは、すぐ止めさせてるねん。」
「でもな、今日のさっきの場面な、先生怒ったとしたら、どうなってたと思う?」
Aくん「うーんと、すぐには言うこときかへんかったような気がする。」
「そうやねん。普通に怒っただけでは、動きそうにもなかったやろ?」
「でもさ、大声で怒鳴って、びっくりさせて、無理やり動かすこともできたかもしれん。」
「でも、毎回そんなことして教室に入らせたとしても、また同じことの繰り返しやろ?」
Aくん「うん、そう思う。」
「先生な、彼らにしぶしぶでも納得して『しゃーないな』と思ってでもいいから、自分の足で教室に向かって欲しいねん。」
「そのためにはな、声をかけるタイミングや、話しかける言葉かけが、すごく大切やと思ってるねん。先生は、そのタイミングをいつもじっと見て考えながら彼らと接してる。」
Aくん「そうなんか。」
「だからな、先生は彼らをしっかり見てる。決して放ってるわけではないねん。それはな、他のみんなに対しても同じ気持ちやねん。だから先生に任せてほしいねん。」
Aくん「わかった。」
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子供たちにとって、教師は悪いことをしたら叱るもの、と思っているはず。
ただじっと見ていることの意味がわかる子供なんて、そんなに多くはないんだろう。
時々、談笑しているときもあるくらいだから、余計に不可解かもしれない。
でも、長い目で見てた時、問題行動を起こす彼らにとって
自分の足で『しゃーないな、戻ろうか』と歩き出すことが大切だと思っている。
私はいわゆる非行児童のことに関しては素人ではあるが、
息子を育ててきた過程で実感してきた、
『気持ちがないのにただ言われたとおりに動くことを求める』
ということを続けても、定着しないことを知っている。
「気持ちがなくてもやらなければならない」ことももちろんあるが、
自分で納得して見通しをもって動くことって、とっても気持ちがいいし、
人に言われてやったんじゃなく、自分で決めたんだしな、と思えるはず。
そういう経験を地道に増やしていくことを、私は今回やっていきたいと思っている。
だって、担任に聞いたって、管理職に聞いたって、誰もはっきりした答えを持っていないんだから。
それなら、周りの先生方が納得する範囲内で、彼らと対話と駆け引きを続けていきたいと思う。
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北風と太陽であれば、私は児童にとって太陽の役割を担うべきだと、
なんとなく誰かが言っているような気がするから。
発達障害の子供たちにとっても、太陽であったと自負しているから。
実際は誰も言っていないし、誰の意見も聞いていないけど、
もう少しこうやって毎日を戦ってみたい。
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Aくんとのやりとりから数時間経って、
1対1の揉め事があった。
一人(B)は暴言、一人(C)はつかみかかろうとする、という。
そのいざこざがあって、また授業が再開したあと、
揉めている2人の間で視線の行き来が一度だけあった。
それを見て、” あ、次の5分休憩の合図とともに、BがCに殴り掛かるだろうな。」
15分くらいして出た担任の休憩の合図とともに、しれ~っと2人の間に入る私。
そして、BがCをとらえた瞬間、私により確保~!である。
その後、Aくんと目が合ったような気がした。
気のせいかな?
何か感じてくれたかな?
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タカマミー
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