2015年5月8日金曜日

お仕事につながる道

息子は、支援学校の中学部1年生である。
中学からこの学校に来て、約1ヶ月。

支援学校では、基本的に中学部から高等部にかけて、
職場(主に作業所)を想定して、
ワークというものをする。
(地域によって呼び方は異なるかもしれない)

作業所を想定した「○○加工」とか「農作業」とか
そういうものに、それぞれ配属になる。
(おそらく)一年間かけて、
どれくらいの作業が担当できるのか、
報告・連絡・相談ができるか、
いろんなことを教えて貰いながら体験をする
まさに職場体験授業である。

よって、中学部の一年生は現在、体験期間のまっさかりである。

・・・・・

ちなみに、私の息子は知的障害の判定は、
3~5才まで中度、
6才で重度になってから、
そのまま重度のままである。

自閉の程度も重いと思う。

昔を思い出しても、現在の状態を書いてみても、
文字にすれば全く同じ。

社会性もかなり重い。
多動・衝動性も強い。
あまり書きたくはないが、他害もある。
(すっかり無くなったと思ったが、中学で若干再発中)
癇癪もちである。
気が散りやすく、集中できない。
力が弱い。
走るのは速いが、持続しない。
何もしないで待つことが全くできない。

書けば、全く良いことがないですよね。


小さいときからこんな風だったので、本当に良いことがなかった。
褒めてあげたくても、褒める行動が一つもなかった。

だから、ひどく困っていたんです。

・・・・・

そして先にも書いたとおり、
上記に書いた「困った」ことはそのまま継続中です。
特性なんて、そうそう変わりません。

だけど、ひどく困っていたから、
なんとかしたいと思った。
自分でなんとかしてやると思った。

そして、いろんな専門家の助言をいただきながら、
母と息子の濃密な日々は、3才~10才まで続いただろうか。

ちなみに、11才から12才はというと、
なんとなく落ち着いてきた息子を見て、
私が少しずつ距離感を作り始めた時期でもある。
物理的に私以外の人と過ごす時間を増やしてみたのである。
その間も今も、いろんなことを一緒にやっているが、
ちょっと質が違うと言ったらいいのかな。
・・・・・

そして、支援学校での話に戻る。

人との関係は、今はまだ様子見しているところでもあり、
ものすごく大きな問題もないと思うが、
多少難ありだと思う。
こちらは頭が痛い問題。
授業の様子は、
多くはわからないが、
それなりにやっている様子である。
実際のところ、よくわからない。
深くも聞いていない。
・・・・・
 
給食当番はというと、
先日、参観日の日に見せていただいた。
近くにおられた先生から、
「彼はね、スープ係を任せられているんですよっ」
ものすごく自慢気に言われた。

「はい・・・!?」
どうして自慢気なのか、はてなマークである。

「スープ係はね、難しいから先生が担当している学年もあるんですよっ」

「はあ、そうなんですか」

小学校では、かなり”できない”生徒だったために、
先生からそんな扱いをされても、しばらく意味がわからなかった。
とにかく、汁物は配るのに神経も使うし、作業的にも難しいということらしかった。

家では味噌汁、普通に自分で入れてるけどな。
・・・・・

そして、ワーク。
3種類のワークを、計2日ずつ体験したようである。

1つ目のワーク、2つ目のワーク、
非常に意欲的に最後までよく取り組んだそうである。
全く問題がなかった。
むしろ、とても楽しそうだったようである。

3つ目のワーク、
それが今週だった。
焼き物を作るワークだったので、
粘土状の物をどうにかしたんだろう。
(詳しくはわからないが、とにかく体操服がドロドロだった)

木曜日(初日)の先生からの連絡帳には

「今日のワーク体験、陶工では、自分の手につく粘土が気になり、
手が止まってしまう姿が見られました。
慣れてくると、指示通り活動できるようになってきました。」

金曜日(2日目)の先生からの連絡帳には

「昨日に比べ、今日のワークではとても順応し
頑張って活動することができました。
順応性の高さに驚きました!!
彼の力なら、どのワークに行っても
作業的には問題ないと思います。
あとは、継続する力、速さ、精確性をあげることが
大事になってくると思います。
本当によくできていました!」

・・・・・

私はこれを読んで、じわーっときたり、
ちょっと嬉しくなったり、
約10年間何やってきたんだっけ?と思い出してみたり、
でも、最後には心配になった。

・・・・・

先生が何故驚いたりスゴイと思ったか。
それは、彼の普段の行動や、知的レベルや、
会話の成り立ち方、
全体指示の通りにくさ、
いろんなことを総合してみて、

それにしては「ワーク」が非常によくできたんだと思う。

・・・・・

そう。
元々能力があったわけでも、
作業が好きなわけでも、
緻密な作業が得意なわけでも、
持続力があるわけでも、
いろんなことを楽しめるわけでも、
すぐに慣れるわけでも
全くないのだから。

だから、余計に心配になった。

先生方、過剰に期待しないでね。
元々できる訳でも、
順応性が高いわけでもなく、
ただ、経験値が高いだけなんです。

そして、やりたくなかったり、
わからなかったり、
いろんな辛いことも乗り越えて、
やっと今楽しく作業ができるようになってきたところなんです。

辛いことはみんな、お母さんとやってきたから、
周りの人にはそれが見えないのかもしれません。

だから、どんどん高いレベルを求めすぎないで欲しい。
長い目でみて、ゆっくりレベルアップさせてやって欲しい。

ちゃんとできるってことは楽しい。
全部できるってことはスッキリする。
「できた」って報告するとほっこりする。
もっと何かやりたいなって思う。

今の気持ちを、そのままお仕事へつなげてやりたいのです。

だって、仕事をするって、役割があるって楽しいもの。
お母さんも、そう思うもの。
そんな風に先生に伝えたいと思っています。
でも、唐突に言っても、ちゃんと伝わるかどうか、
ちょっと不安です。
今までの彼を知らない世界に、1ヶ月前に飛び込んだばかりだから。
でも、頑張って先生に伝えるからね。
・・・・・

タカマミー

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